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【移住コラム】ジャズドラマーから社会起業家へ 全ての人が「自分らしく働く社会を実現する」世界を(前半)

今回は福岡にUターンで戻ってきた起業家さんにインタビューしました。

株式会社マイソルの代表取締役で、社会課題に解決の取り組む起業家を支援する一般社団法人「リエートス」の代表を務める福澤久さん。東京の音楽大学を卒業後、ジャズミュージシャンとして活動していた福澤さんが地元・福岡に戻った経緯や、戻ってからの福岡での起業、福岡の生活を語っていただきました。

福澤さん:株式会社マイソルは、コールセンターなどのアウトソーシング事業を通じてソーシャルビジネスを推進しています。

コールセンターや人材派遣などの人材ビジネスを通じ、多くの求職者や就労者が様々な社会的背景を抱えているのを知ると同時に、目には見えづらい「働きづらさ」を感じていることを知りました。また、友人や同僚、ビジネスパートナーの皆さんが、セクシュアルティに関して僕にカミングアウトをしてくれた経験から、LGBTにおける様々な悩みや社会的課題も知りました。

僕たちはLGBT層に限らず、同様に「働きづらさ」を抱えている社会的マイノリティ層の就労問題を、事業を通じて解決していきます。自分らしく働く多様な人材の能力を企業の成長へと繋げ、全ての働く人が豊かな未来になるようソーシャルビジネスを推進しています。

自分のためから子どものために、ジャズドラマーを卒業

福澤さんはドラマーとして、ジャズミュージシャンの山下洋輔さんなどのグループを始め、東京を中心に演奏活動をしていました。しかし、ミュージシャンの収入は安定的に入っているわけではありません。30歳を目前に結婚し、子どもが生まれたタイミングでミュージシャンを辞め、転職します。

ジャズドラマー時代の福澤さん。東京を中心にプロのミュージシャンとして活動していました。

福澤さん:音楽での収入が不安定なのでコールセンターで働いて生計を立てていました。結婚する前は自分の好きな生活を貫ければいいと思っていたし、結婚してからも考えは変わらないと思っていました。

でも、生まれてきた子どもを抱っこしたときに考えが変わったんです。「僕は今まで自分のために生きてきたけど、これからの人生は子供のために生きよう」と。その考えに至ったとき、ミュージシャンとしての葛藤が生まれたんです。

生活のために演奏する音楽と、自分が楽しむための音楽が、だんだんチグハグになっていったんです。

僕は果たして、これがやりたかったのだろうか。生きるための音楽を演奏するくらいなら、もういっそ音楽をきっぱり辞めて家族を路頭に迷わせない道を選ぼうと思ったんです。僕はゼロか100どちらかしか選べない人間なんです。このタイミングでミュージシャンを辞める決断を下しました。

ー心機一転、家族のために新たな人生を歩み始めた福澤さんは、コールセンターの会社で様々な経験を積み、着実にキャリアを重ねていきます。この頃になって、九州に戻りたいという思いが芽生え始めます。

福澤さん:会社の業績が順調に伸びていたこともあり、愛媛県の松山市にコールセンターが立ち上がることが決まり、その準備のためのプロジェクトに参画していたんです。九州で子供を育てたいと思っていて、その足がかりとしてまずは松山で仕事ができればと思ったんです。

ところが、このタイミングでリーマンショックが起きてしまったんです。日本だけでなく世界の経済が大打撃を受けたあおりを受けて、愛媛のコールセンター立ち上げの話がなくなってしまったんです。会社からは本社勤務を引き続き命じられました。

でも、プロジェクトを準備していく中で、気持ちはすっかり九州に傾いていました。この気持ちもひとつのサインなんだなと思い、会社に退職を告げて地元の福岡に戻ることにしました。特段、次の仕事を決めて戻るわけではないので、せっかくなら東京から車で各地を回って福岡に戻ろうと思い、10日ほどかけて福岡に戻ってきました。今でもいい思い出ですね。

ソーシャルビジネスに目覚めた3つの「点」

ー福岡に戻った福澤さんは女性の就業支援をしている会社に就職、コールセンター業務の知見を活かし、アウトソーシング事業の立ち上げに関わります。

福澤さん:おかげさまで事業はどんどん拡大し、コールセンターのフロアは10席から50席、100席と雪だるま式に増えていきました。会社の売上も上がり、僕の収入やキャリアも安定していきました。

でも、そんな自分になったときに「だから、何?」という感覚に陥りました。

確かに収入もキャリアも安定して、車もマイホームも買うことができた。でも、結婚する前のミュージシャン時代はお金もなくて、生活も苦しかったけど、毎日が生きているって感じがして、幸せを感じていました。

もちろん、家族と過ごす時間や子どもの成長をみるのはとても幸せです。でも、幸せのベクトルが違うんじゃないか、これって本当に幸せなのかと悶々とした気持ちを持つようになりました。

ーこうした気持ちを持ち続けていた福澤さんに、人生を懸けて取り組むソーシャルビジネスの「点」となる出来事がありました。

福澤さん:コールセンターに耳が聞こえない女性が「働きたい」と応募してきたんです。僕は戸惑いました。そもそも電話でやり取りするコールセンターの業務で耳が聞こえないのは致命的です。

でも、せっかく応募してくれたのだからと話を聞いていくと、女性のコミュニケーション能力がすごく高いことに気づいたんです。この人なら仕事もきちんとやってくれそうだなと思い考えた結果、コールセンターの業務のひとつであるデータ入力ならできそうだと思い、採用しました。

すると、コールセンターの人たちがデータ入力をしなくなった分、電話対応の件数も増え、業務の効率化と売上アップを同時に果たすことができたんです。耳が聞こえないというハンデを補ったという形ではなく、会社が彼女に手を差し伸べたという形でもなく、会社の一員として立派に成果を出してくれたんです。

こうした人と同じ場所で働くことができるんだと思いましたし、僕が関わる事業でできたことがちょっと誇らしくなりました。それと同時に、働くスキルは充分持っているのに、耳が聞こえないだけで働く場所が限られてしまう境遇の人って、もっといるんじゃないかと思いました。

ー現在の事業のキッカケとなる出来事を体験した福澤さんですが、まだソーシャルビジネスというものをつかみきれていなかったそうです。

福澤さん:実は当時働いていた会社の顧問が、一般社団法人ユヌス・ジャパンの代表理事で、ソーシャル・ビジネス普及・啓発に取り組んでいる岡田昌治さんだったんです。月に1度は会社に来ていただいて、ソーシャルビジネスの講義をしていただいていたんですけど、「そんなことできるのかなぁ」と、いまいちピンと来ていなかったんです。

私が今の事業を作るキッカケとなった出来事はあと2つありました。

ある日、コールセンターの応募にスーツ姿の人がやってきました。見た感じは男性のように見えます。履歴書を見ると性別欄の「男・女」の部分にマルが書かれてなかったんです。コールセンターに応募してくる多くの人の履歴書の中にも稀にこういうことがあるので「あ、注意力が散漫な人なのかな」と思いながら面接していたんです。

ところが面接の最後になって、その人が振り絞るような声で「実は私、見た目は男性なのですが、心は女性なんです。今後、性別を変えるための手術をしようと思っているんですけど、そのときに休暇を取ることができますか?」と聞いてきたんです。

僕は激しく後悔しました。履歴書の性別欄にマルが書けなかったのは注意力散漫なのではなく、書くことができなかったんだと。面談の最後にそのことを言わせてしまってことは申し訳ないと思いました。

もう一つは、ある人の告白でした。取引先の会社を辞めた男性で、最後に会ってから半年ぶりくらいに連絡が来て食事をすることになったんです。定例の会議で話をするくらいの間柄だったので、「どうしたんだろう」と思いました。

食事が終わった後、たわいのない話をした後、男性は「実は大事な話があるんです」と僕に言いました。なんだろうと思っていたところ、男性は自分が同性愛者であることをカミングアウトしたんです。僕は「そうなんだ」と思うくらいで、特に驚きはしませんでしたが、男性はカミングアウトの最初の相手を僕に選んでくれたというんです。

セクシャルマイノリティの人たちは言いたくても言えない思いを抱えながら働いているんだ。僕が始めて知った現実でした。

このとき、僕の中で「点」と「点」が繋がった気がしました。ソーシャルな取り組みとビジネスを両立することが、僕にもできるかもしれない。僕は早速、岡田さんに相談をしてビジネスモデルを組み立てていきました。

前半〆

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