【移住コラム】サントリー社長「45歳定年制」発言から見る、移住・起業に向く人・向かない人

福岡市のソーシャルグッドなコミュニティスペース「ウィズスクエア福岡」に入居している木村公洋(きむら・きみひろ)と申します。この度、ご縁を頂き、九州移住に関するコラムを執筆しています。

【移住コラム1】「移住」は思考の幅を広めるツールに 環境を変えると考えも価値観もアップグレードする

【本文】
サントリーホールディングスの新浪剛史社長が先日、副代表幹事を務める経済同友会の夏季セミナーで「45歳定年制を敷き、個人は会社に頼らない仕組みが必要だ」との発言をし、ネット上で賛否両論が巻き起こりました。

サントリー新浪社長「45歳定年制」を提言 定年延長にもの申す

新浪氏はさらに「(定年を)45歳にすれば、30代、20代がみんな勉強するようになり、自分の人生を自分で考えるようになる」と従業員の意識改革につながると強調しています。

ネット上には「サントリーは45歳以上を切り捨てるのか!」「住宅ローンはどうやって払うんだ」などと批判があがりました。

個人的には、人生で一度もサラリーマンになったことがない、つまり正社員として働いたことがないまま独立したので、そもそも定年の概念がありません。

このコラムを読んでいる方の中には「45歳定年なんておかしい」と思う人もいるかもしれません。一方で「定年なんていちいち気にしない。今の自分にできることをやるだけ」と考える方もいるかもしれません。

この「45歳定年制」に対する考え方が、実は「起業に向いている人かどうか」の一つの基準になるのではと、推測しています。

僕はいま43歳です。もし会社勤めで、記事通りの動きになれば2年後には定年になります。もし定年になったら、次の仕事を自分で探すなり斡旋(あっせん)してもらわないといけないわけです。

でも、今の僕のマインドやスキルなら全くもって不安がありません。売り込み方というか営業力のスキルをもう少し上げれば、仕事には困らない自信があるからです。

放送作家をしていた頃は事務所に所属していたので、営業担当のマネージャーがいて、僕がテレビ局なりラジオ局で仕事をしているときに各局を回って売り込みをかけてくれました。頂いた仕事は必死にこなし、なんとか15年の間、放送作家としてやっていけました。

事務所を独立してから2年、放送作家を辞めて移住してからもうすぐ1年が経ちましたが、移住前と後で決定的に変わったのはクライアントのニーズに合わせた「企画力」「提案力」が格段に上がったことです。

個人的な考えですが、仕事は最低限「企画力」「提案力」「営業力」があれば、どのジャンルでもやっていけると思っています。営業力は作家時代の終わりから、様々な業種の方との交流があったので、これはクリアしています。

しかし、独立してから残りの2つ、特に相手のニーズに合わせるという「提案力」が全くもって不足していたことに気づいたんです。テレビ・ラジオ番組は視聴者のニーズも大事ですが、どちらかというと面白さ重視だったので、見る人の利益までは考えていませんでした(少なくても僕は)

しかし、マスコミ業界を離れて他の業種の方を仕事をするとなったとき、「相手は何に困っていて、どんな課題を解決できれば報酬を頂けるのか」という視点が抜け落ちていました。なので、なかなか「一緒に仕事をしましょう」という雰囲気にはならなかったんですね。

僕は、独立はしていたけど、起業家の精神は身につけていなかったわけです。

自己を磨き続けるのは大切です。でも、いつ何時に仕事を切られても、失っても、すぐに次の仕事を作るための企画・提案が出来ていなかったんです。

話を「45歳定年制」に戻します。ちょっと厳しい言い方かもしれませんが、物事はただ批判的に捉えるだけでなく、本質をとらえることが重要だと思います。僕は移住してから、企画・提案力を磨き続けたので、ちょっとずつ福岡の仕事が増えてきました。

福岡の起業家の友人から聞いた話です。自ら経営する会社で移住相談をしていて、都心部に住むアラサー夫婦から問い合わせがあったそうです。問い合わせの内容は「●●のスキルがあるから、●●の仕事がしたい。夫婦で手取り●●万円欲しい」

仕事も給与も自らの都合で、まるで「移住してやるから、これだけ給与をよこせ」と上から目線で言っているようなものです。友人は、この問い合わせは丁重にお断りしたそうです。「移住しても環境面や人間関係で馴染めず、どの地域に行ってもうまくいかないと思う」と。

フリーランスから独立して通算15年働き、東京から福岡に移住した経験から、起業家として成功する確率が高いのは「自ら考え、動き、成功するまでやり切る」人、移住するのに向いているのは「『郷に入っては郷に従う』ように柔軟な考えがある人だと思います。

自ら考え抜いて柔軟な発想を持ち、成功するまでやり切る人たちが集まるイベントが11月13日(土)に福岡で開かれます。

孤独のない社会のために、ソーシャルグッドの輪を広げよう! 『ともに暮らすフォーラム &ソーシャルマルシェ 』

起業家とは孤独なものです。そんな起業家同士が寄り添い、支え合いう仕組みが必要なのではないか。そんな思いから立ち上がったイベントです。イベントを通じ、「自立して孤立しない」生き方を、考えてみるのもいいかもしれません。

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