【移住コラム】福岡からイノベーション返しを 全ての先生・生徒が自分らしくいられる環境を作る。 菅澤想さんインタビュー(後編)
コワーキングスペース「ウィズスクエア福岡」に私とともに入居している「教育と探求社」の菅澤想さん。前回は福岡に移住するまでの経緯や福岡での人とのつながり方をうかがいました。後編の今回は、菅澤さんが今の仕事に就くまでのお話や、菅澤さんの今後の展望などを聞きました。
自分が自分らしくいられる環境を見つける
菅澤さん:大学卒業後はIT系の企業に就職しました。自分がまだ見たことのない世界に触れてみたかったのと、自分が成長できる環境を探したときにITがいいなと思ったんです。
社会人になって半年ほどで、都内の児童養護施設でボランティア活動を始めました。自分の知らない世界で生活している人と関わりを持ちたいと思ったからです。月に1回、オンラインで施設の子どもと対話をしていて、活動は現在も続けています。
1社目の会社は1年8ヶ月で辞めました。会社の同期や大学時代の友人たちが精神的に疲れて休職したり退職したりするのを見て、「これは他人事じゃない。いつか自分を含め、誰しもがそうなりうる」と感じたんです。自分が自分らしくいられる環境を、自ら探していくことが重要だと思うようになっていきました。
仕事自体は面白かったのですが、仕事をする中で様々な境遇の人と出逢いたいという思いもありました。仕事先のクライアントの多くが大企業の人で、ご本人自身の困りごとが見えづらいと感じていて、もっと困りごとが見える人と接していきたいと思いました。
ではどの業界に転職をしようかと考えていたとき、親しい友人が教育関係の仕事をしていたこともあって、教育関連の事業をしている会社の情報をいくつか教えてもらいました。これに加えて、自分でもリサーチをした結果、見つけたのが現在働いている「教育と探求社」でした。
教育と探求社で働こうと思ったのは、会社が掲げる「自分らしく、生きる。」に心を打たれたからです。中高生たちが学校で自分らしく生きる機会をつくり、持っている個性や能力を思う存分発揮する。そんな環境作りに全力を挙げている人たちの姿が垣間見えたし、この会社だったら「自分が自分でいられる」と思ったんです。
生徒の心のリミッターをどう外していくか
いまは主に中高生と学校の先生たちとのやり取りが多いです。
素直な生徒たちが多い中で、まだ自分を出し切れていない生徒たちもいるなと感じます。心の中にリミッターがかかっているような状態で、どうすればリミッターを外してあげられるのか。そんなことを常に考えています。
生徒たちは1年ごとに関わることが多いのですが、先生方の中には何年も一緒に関わっている人もいます。多くの先生は試行錯誤をしながら、よりよい教育手法を模索していて、先生たちを見ると僕たちももっといいプログラムを作らないといけないなと気合が入ります。
福岡からイノベーション返しをしていきたい
せっかくご縁をいただいて福岡、九州にいるので、東京からは見えない先生や生徒の様子を知っていきたいです。会社として役立てることがあれば、もっと福岡や九州での活動を広げていきたいですね。
教育と探求社の福岡営業所ができてから2022年12月で3年になります。福岡営業所は東京と比べて少人数なのでフットワークを活かして面白い取り組みをしていきたいですし、「福岡や九州に面白い学校や先生がいるんだぞ」と東京のメンバーに知ってもらえるように活動をしていきたいですね。目指すは「イノベーション返し」です。
探究学習も広まってほしいけど、大切なのは先生や生徒ひとりひとりがいきいきと個性を発揮できる環境が広まっていくことだと思っています。全国の学校で、そんな環境をつくるために自分自身を探究していこうと思います。
【まとめ】
菅澤さんと話していて印象的だったのは、考えながら言葉を紡いでいたことです。自分が関わる人たちの困りごとに真摯に向き合い、ひとりひとりに合わせた解決策を提示し続けている。普通の人にはなかなかできることじゃないことを、息を吐くようにやっている。
同じコワーキングで作業しているので、菅澤さんと生徒たちのオンラインのやり取りを見ることがあります。そのときの菅澤さんも、生徒たちに対して考えて言葉を選びやり取りをしていると感じています。
私自身もご縁があって、学校現場に関わる仕事をしています。福岡から、九州から、よりより教育を探り続けるもの同士、これからも仲良くしていただければと思います。
菅澤さん、今回はご協力いただき、ありがとうございました!
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