【移住情報】福岡県糸島市

新型コロナウイルスの感染拡大によりテレワークを導入する企業が増え、それをきっかけに都市部から地方へ移住する人や、働き方を見つめ直し起業をはじめる人も増加しています。

 ともに暮らす.com(トモクラ)では起業家やこれから起業を考えている人に、九州や沖縄県、山口県の移住情報を、幼少期佐賀県に三年間住んでいた東京都在住のフォトライター・奏(かなで)ララがお届けします。

  記念すべき第一回は、私が幼少期に訪れたときにあまりの海の美しさに衝撃をうけた、福岡県糸島市に焦点を当ててみました。

「世界で最も魅力的な小都市」世界3位の糸島市

桜井二見ヶ浦

福岡県の最西部に位置する糸島市は、美しい海や山に囲まれた自然豊かな場所で、魚介類や野菜など1年を通して新鮮な食材が多く採れることでも有名です。

 またイギリスの情報誌「MONOCLE(モノクル)」が実施した『輝く小さな街(Brightlights, small city)』の2021年ランキングで、世界3位に選ばれる程、国内だけでなく海外からも注目されています。

充実した起業支援制度】

 国内外から関心が集まる糸島市では、市内で起業を考えている人向けに起業支援制度を設けているのも、移住して起業を考えている人たちからも注目されています。

 糸島市商工会の起業支援制度には、以下の4つが挙げられます。

■ワンストップ相談窓口の設置

 起業準備から起業後のフォローまで一貫した個別支援を行うために「ワンストップ相談窓口」を設置しています。起業時に必要な知識はもちろん、経営全般に関する相談に専門知識が豊富な商工会職人が対応します。
(相談時間/月〜金曜日 8:45〜17:30)

■借入金の利子補給制度

 日本政策金融公庫から新規創業資金などを借入れした人に対して、借入れ後1年間で5万円を上限とした利息の助成を行います。
(一定の条件を満たす必要あり) 

■リフォーム費用の補助

 商売を始めるのに必要不可欠な店舗や事務所。起業に必要なリフォーム費用総額のうち、最大30万円が補助されます。
(一定の条件を満たす必要あり) 

■起業塾の開催

 起業希望(起業前)の人と起業後5年未満の人を対象に、「起業塾」を開催しています。経営上の課題・成功事例、資金繰り表の作成方々、マーケティング手法、確定申告・記帳、労働保険手続きといった充実した内容になっています。

※問い合わせ 糸島市商工会 https://ishokokai.net
TEL 092-322-3535

「きっと満足 糸島生活」 定住促進ガイドブック(令和3年度版)参照

定期的な起業応援イベントの開催

 糸島市商工会では定期的に起業応援イベントを開催しています。今年7月に行われた「糸島×起業」応援イベント『みんなのそうぎょう③』は、起業を身近に感じていただくことを目的とするトークイベントで、糸島で起業した先輩をゲストに迎えカジュアルに話を聞くことができ、また起業に関心のある方が集まるので、同じ志を持った仲間を作るきっかけにもなります。

 また昨年秋に行われた糸島市商工会主催「創業塾2020」では、糸島市で起業する人や検討する人向けに、ビジネスモデルの作成・コンセプトワーク、サービス開発から、経理・労務、販売開拓・促進の為のPRまで無料で学べるイベントが開催されました。

 実際にこの創業塾を受講したMASUMIさんは、「経営ビジョンと販促戦略の講義が特におもしろかった(中略)。本やネットなどでいろいろ調べることができる時代ですが、やはり直接お話を聞くと理解もすすむし、勉強になりますね。」と自身のブログに感想を載せられています。

糸島移住かあさんの創業日記① (https://note.com/ouchi_itoshima/n/ncdc7351f7db3)

「糸島×起業」新たな試み・学生・社会人混住型の
「起業家シェアハウス」

実際に糸島市に移住して起業した大堂良太さんは、九州大学生向けのシェアハウス型の寮を運営しています。

「地域にひらかれた学生寮で、寮生の成長を後押ししたい」との思いから大手総合商社を脱サラし、2017年秋から糸島半島でシェアハウス型の学生寮「熱風寮」https://yoka-gotsu.co.jp の運営をはじめ、今年の春には新たに2棟を開設し、空き家や古民家を改修した寮は計6棟になるまで成長を遂げています。

 糸島市の中心市街地にある6棟目「熱風寮・前原西」は、新たな試みとして、学生・社会人混住型の「起業家シェアハウス」として今年3月から入居が開始されました。

 大堂さんは「九大生の中でも将来、地域に根ざした仕事をしたい、ユニークなスキルや経験を学生時代に身に付けたい人に集まってほしい」と、移住者の起業家や起業予備軍も集うことによる「双方にとってプラスの化学反応」を期待しています。

西日本新聞Me (https://www.google.co.jp/amp/s/www.nishinippon.co.jp/item/n/703224.amp)

【人と人を繋げ、新しいことを生む
オープンコミュニティースペース「みんなの」】

オープンコミュニティースペース「みんなの」

糸島市は移住者が多くコミュニティにも入り込みやすいところも魅力です。
福岡県糸島市の中心市街地・前原(まえばる)に2020年1月に誕生したオープンコミュニティースペース「みんなの」https://minnano-itoshima.com は、従来の公民館のように行政から与えられた場所ではなく、民間有志が提案してつくったコミュニティスペースで、行政や企業のバックアップを得ながらも、市民の利用料やイベント収益で運営されています。

「みんなの」の空間は、まず入り口を入り土足のまま使えるオープンなコワーキングスペース。中央に大きなテーブルを囲んで座るスタイルですが、顔を上げれば目が合うけれど、気兼ねはしなくて済む程度の、適度な距離感になっています。

 他には天井の高さを生かし、窓際にはロフトのような中2階や、壁面にはグリッド状の「みんなの本棚」があります。糸島で活躍する人々やクラウドファンディングの出資者が、それぞれお薦めの本を並べており、推薦者のコメントが書かれたカードが添えられているので、本を通したコミュニケーションが図られています。

 奥は子連れの人に配慮して、靴を脱いで上がるスペースになっています。掘りごたつ状のテーブル席、座卓を並べたフロア、カーテンで仕切れるステージ状のコーナーが並んでいて、座卓を外したり椅子を並べたりすれば、さまざまなイベントやワークショップに使用できます。

 基本料金は一般3時間500円、1日1,000円で、身分証明書を提示すれば誰でも利用できるほか、市外からの来場者には2時間無料の「旅人チケット」を発行しているので、休憩やワーケーションで利用することもできます。

  運営を手掛けるのは、まちづくり会社「いとしまちカンパニー」https://itoshimachi.com 。若手経営者3人が代表社員を務めています。そのうちのひとり、福島良治さんの移住体験が生かされています。

【紹介文化を糸島で。交流会「いと会」を立ち上げ】

  福島さんは理想とする子育てができる地を探し求めて、2015年3⽉に家族で東京から糸島市にIターンしてきました。それまで縁もゆかりもなかった⽷島を選んだのは、⾃然豊かで⾷が充実していること、⼤都市福岡に隣接して利便性が⾼く仕事面でも期待が持てること、移住者が多くコミュニティにも入り込みやすいと考えたからです。

  東京ではずっと会社勤めでしたが、糸島ではフリーランスとして、eコマースやWebマーケティングのコンサルティングを始めました。東京時代の人脈も頼りながら、少しずつ仕事の幅を広げていったといいます。

「福岡には“紹介文化”があるんですね。出会った人が、また新たな人につないでくれる。移住してきてから短期間のうちに、みるみる知り合いが増えていきました」と福島さん。その数、2年で300人以上。しかし、主な出会いの場となったのは糸島ではなく福岡市だったといいます。そこで、福島さんは自ら、糸島を舞台とした交流会「いと会」を立ち上げました。

  2016年1月の第1回「いと会」の参加者は全部で8人でしたが、まもなく50回を数える今、毎月40人近くが集まるまでになりました。

  この会を通じて大きなイベントも行っていますが、福島さんは「どれもあらかじめビジョンがあったわけではなく、人と人との出会いから、思いがけなく始まったことばかり」であり、「糸島の中心市街地を元気にするために、何かいいアイデアはないか」と問われると「人々が出会う場所があればいい」と回答しました。

LIFFUL HOME’S PRESS 『福岡県糸島市の中心部に、民間有志が運営する未来型公民館「みんなの」が誕生』https://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00954/

【まとめ】

  糸島市は福岡市の中心部から車で約35分とアクセスも良く、市の起業支援制度が充実していることや、移住者が多いこと、コミュニティ作りがしやすい環境も魅力的です。

  移住や起業に限らず、悩みを誰にも相談せずひとりで長い間抱え込んでいても全然解決しなかったのに人に相談したら意外と早く解決の糸口が見つかったということもあります。

  人々が出会う場所があればそこからコミュニティも広がりますし、移住した先輩方も同じ悩みを経験してきた可能性が高いので相談相手としても心強いことでしょう。

 糸島市で、憧れの移住生活に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

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