【移住情報】山口県下関市
皆さまこんにちは。東京都在住のフォトライター・奏(かなで)ララです。
私は先日、東京・新宿で開催されていた、全国の自治体が集まって全国各地の魅力などをアピールする大規模な移住イベント「JOIN 移住・交流&地域おこしフェア」に行ってきました。そこで九州や沖縄県、山口県のブースを訪れて、その土地ごとの魅力や移住・起業について自治体の方々とお話させていただきました。
その時、目を輝かせながら県の魅力についてお話をされていた山口県の自治体の方の姿がとても印象的でした。その姿を見て「山口県を取り上げたい」と刺激を受け、今回ペンをとりました。
起業家やこれから起業を考えている人に、九州や沖縄県、山口県の移住情報をお届けする「ともに暮らす.com」(トモクラ)の【移住情報】。
今回は山口県の中核市である下関市について、クローズアップしていきます。
【「すみっこって、住みやすい。」
本州の西の端(すみっこ)下関 】
山口県下関市は、本州の一番西の端にある人口約25万人、山口県で一番人口の多い市です。
都市圏への利便性もよく、新下関駅から博多駅まで新幹線で28分です。九州と本州の玄関口であり、国内物流の拠点として、また東アジアとも地理的に近いことから、古くから国内外の人や物が行き交う交流都市として栄えてきました。
平成17年に下関市、豊北町、豊田町、菊川町、豊浦町の(旧)1市4町が合併し、海も山も都市もある、新たな下関市が誕生しました。
【気になる補助金、支援金ついて】
山口県と県内全市町では、県内で社会的事業の創業を行おうとする方を支援する創業支援事業及び移住支援事業を設けています。
<創業支援事業(やまぐち創業補助金)>
山口県と県内全市町では、県内の地域課題に対して社会的事業で創業する方に、県が創業に要する経費を助成する補助制度を設けています。公募については(公財)やまぐち産業振興財団HPをご覧ください。
<移住支援事業>
東京23区(在住者又は通勤者)から県内に移住(予定を含む)し、上記補助金(やまぐち創業補助金)の交付決定を受けた方に、山口県と市町が共同で交付金を支給します。
※在住期間等に一定の要件があります。
〈支給金額〉
創業支援事業:最大200万円(補助率2分の1)
移住支援事業:単身世帯の場合は60万円、2人以上世帯の場合は100万円
・制度の概要に関するお問い合わせ先
山口県商工労働部経営金融課
電話番号:083-933-3180
ファックス番号:083-933-3209
※移住支援金の申請先は移住先の市町となります。
移住支援金を受給するためには、申請時点において、①移住後3ヶ月以上1年以内であり、かつ②創業補助金の交付決定後1年以内であること、という要件を満たす必要があります。
〈YY!ターン(UJIターン)パスポート〉
山口県では協賛企業と協力して、移住する際の経済的負担をサポートしています。
下関への移住をお考えの山口県外の方が、下記のような割引サービスが受けられるパスポートを交付しています。(山口県の制度のため、対象者は山口県外の方に限られます。)
<割引サービスの例>
● 引っ越し代の割引
● ローン金利の優遇
● 車購入時のオプション等
● レンタカー代の割引
● 宿泊代等の割引
● 賃貸住宅
※ サービスを受けるには、事前に交付の申請が必要です。
(制度やサービスの詳細は、下記サイト(山口県HP)にてご確認ください)
http://www.ymg-uji.jp/consultation/passport/
【実際移住した先輩はどのように起業したのか?】
*宮城県からIターンして、ジェラート店をオープン!角島ジェラート POPORO 秋枝 美香さん
秋枝 美香さんは宮城県塩釜市出身。宮城県で父親が経営するジェラートショップ「ポポロ」を手伝っていた2011年に、東日本大震災に被災。 橋の架け替え工事による立ち退きと父親の他界により、2016年11月にやむなく閉店しました。
しかし2017年2月に夫の実家がある下関市豊北町にIターンし、翌年5月に「角島ジェラート POPORO」をオープンしました。
角島ジェラート POPORO HP: http://www.g-poporo.com
——創業のためにどんな準備をされましたか?
創業にあたり空き店舗を探すため、下関市の移住相談窓口「住まいる下関」を訪ねたり、下関市の産業振興課や商工会、創業支援カフェ「KARASTA.」など、相談にのってもらえそうなところには片っ端から足を運びました。しかし、なかなかいい空き店舗が見つからず、車による移動販売やテナント出店など検討し、最終的に実家の敷地内に店鋪を構えました。
その後山口県、(公財)やまぐち産業振興財団が主催する「女性創業セミナーWITTY」に参加して、経営について一から学び、事業計画書の書き方や経営戦略などを学びながら、これまでの人生を振り返り、誰にどんなジェラートを売るのか、何を目指すのかなど、深く考えることで事業計画を見直すことができました。
何回か振り出しに戻っているので、その度に事業計画書は書き直しました。
——そのほかに準備されたことはありますか?
下関市の商工振興課からは、さまざまな相談窓口を紹介してもらいました。そのうちの一つが、山口県よろず支援拠点です。
そこで創業に関するさまざまな専門家を紹介していただき、商標登録や広報戦略などのアドバイスも受けました。
——創業後、事業はスムーズに進んでいますか?
鹿児島や大阪など遠方から来られる観光客がいらっしゃるなど、予想をはるかに上回る順調なスタートを切ることができました。しかし、観光地がオフシーズンとなる冬場は売り上げが下がってしまいます。
そこで、山口県商工会連合会の小規模事業者持続化補助金を活用してオンラインショップを作成し、クリスマスケーキやプレミアムフレーバーセットの販売を始めました。
今後は、商品数を増やしたり、商品紹介ページを改善したりして、オンラインショップの売上も伸ばしていきたいと思います。
——現在創業をお考えの方にアドバイスをお願いします。
一人で創業しようとすると、視野が狭くなって行き詰まってしまうこともあると思います。そんな時は、勇気を出して周りに助けを求めてみるといいと思います。
途中であきらめたらそれは失敗ですが、成功するまでやり続けたら失敗は失敗ではなくなります。あきらめず、強い信念と勇気をもって、自分からアクションを起こしてください。そうすれば、自ずと道は開けてくると思います!
引用サイト*
山口創業総合ポータルサイト https://sogyonomado.jp/founders/秋枝-美香/
*熊本地震をきっかけに下関市に移住を決意。合同会社CRAFTSMAN 代表 青山 高志さん
青山 高志さんは神奈川県横浜市出身。神奈川県の大学を卒業後、大手スポーツ用品メーカーに就職。
2016年、下関市出身の大学時の友人がUターンしてCRAFTSMAN COFFEE ROASTERSを創業するのを機に、アドバイザーとして経営に参加。
2017年に、本格的に経営に加わるために、5年間勤めた会社を退職して下関市に移住。現在は合同会社CRAFTSMAN の代表として、直営店3店舗、フランチャイズ店1店舗、プロデュース店1店舗の運営のほか、年に5件程度、地域イベントの企画・運営を手がけています。
合同会社CRAFTSMAN https://craftsman-coffee.com
——下関市への移住を決めたのはなぜですか?
友人が創業したカフェ「CRAFTSMAN COFFEE ROASTERS」の経営に正式に参加するためです。
その友人とは大学で出会ってすぐに意気投合し、当時から「いつか一緒に何かしよう!」とよく語り合っていました。
卒業後、その友人は実家の事情で下関市にUターンし、それがきっかけで私も下関市に足を運ぶようになりました。しばらくして友人が「CRAFTSMAN COFFEE ROASTERS」の創業を決め、私も会社員をしながらアドバイザーをすることに。お店のコンセプト作りをしたり、ブランディング戦略を練ったり、融資を受けるための資料作りを手伝ったりしました。
大きな転機になったのは、2016年に起きた熊本地震です。出身大学の熊本キャンパスが被災したことをニュースで知り、当たり前の日常が簡単に奪われるという現実に「やりたいことを先延ばしにするのはやめよう!」と強く思いました。
それを機に会社を退職して、下関市に移住することを決めました。
——現在の状況はいかがですか?
2018年の秋に、下関市地方卸売市場内に焙煎工場「THE LAB.」、そして2020年の秋に下関市役所横の市民広場にカフェ&レストランバー「TAGLINE」をオープンしました。
さらには、山口県内外各地でブランド普及活動を実施するキッチンカー「THE CUP」のフランチャイズ展開や、土井ヶ浜を一望できる「ZERO CAFE」のプロデュース、年に5本程度の地域イベントの企画・運営など、「この街をより豊かな暮らしができる街にする」をコンセプトに掲げて事業を行っています。
2019年2月には、組織変更に伴い、社名を「合同会社CRAFTSMAN」に改称。しばらくは友人と二人で経営していましたが、2021年春に友人が卒業し、現在は私一人が代表を務めています。
友人は飲食店のプロデュースをメインとする別会社を立ち上げ、全国各地を飛び回っています。
——山口県への移住を考えている方に向けてアドバイスをお願いします。
できるだけ現地に足を運んでみることをおすすめします。
簡単に情報が入手できる時代だからこそ、自分自身の五感をフルに使って、じっくりと時間をかけて吟味することが大切だと思います。
ぜひ訪れた際には、地元のお店にふらっと入って、地域の人と会話を楽しんでみてください。そうすることで、イメージと実際の生活とのギャップが少なくなり、よりスムーズに地域に溶け込めるようになると思います
引用サイト* ぶちええ山口
https://www.ymg-uji.jp/interview/id_shimonoseki_aoyama.html
【まとめ】
東日本大震災や熊本地震という災害によって、人生の転機を迎えたお二人。
当たり前の日常が簡単に奪われるという現実に「やりたいことを先延ばしにするのはやめよう!」と強く思いました、という青山さんの言葉がとても印象に残りました。
下関市は移住・起業するにあたり、相談窓口や産業振興課や商工会、創業支援カフェなどが充実しています。
それらを利用し、もし途中で行き詰まってしまった時には勇気を出して周りに助けを求め、それでも諦めずに続けていけば、ある時から続けた人にしか見えない景色が見えてくるはずです。
九州と本州の玄関口、下関市で移住・起業の夢を叶えてみてはいかがでしょうか。
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